こんにちは!ママガク学長、新井です。
前回のコラムでは<遊びに関わる自立><基本的な生活習慣の自立>をお伝えしました。
復習
遊びに関わる自立「一人遊びついて」
「触りたい!」「やってみたい!」などの「子どもが主体的にやりたい遊び」(親にとってはイタズラ)をたくさんさせることは子どもにとって<基本的な生活習慣の自立>に必要な能力を身につけることにつながります。たとえば、小さな壁紙のはがれを見つけた子どもは摘んで剥がしてみます。それが想像以上に大きく剥がれたりすると、「全部剥がしてみたい」という欲求が生まれ、夢中で剥がしているうちに何度も指先を使うことで「掴む力」に発展していきます。
このとき子どもは壁紙剥がしに夢中になることで、親に頼らず自立して「一人遊び」している状態です。
基本的な生活習慣の自立は?
「一人遊び」で培われた「掴む力」によって、椅子に座ってスプーンを持ってごはんを食べられる、ボタンの掛け外しが出来ることで自分で着替えられるようになる、など発育発達段階に合わせて<生活習慣の自立>が促されます。
では、今回は<自己形成と社会性の自立に向けて>は我が子とどのような関わり方が必要かをお伝えしたいと思います。2歳以降本格的に訪れる「イヤイヤ期」についても少し触れますので、ぜひお読みください。
自立に必要な「愛着形成」について
育児書やインターネットコンテンツ、SNSなどで「乳幼児期は親子関係の土台が大切」という言葉を見かけたことがある方は多いと思います。
・親子関係の土台
・愛着形成
・基本的信頼感
これは同じ意味合いをもつ表現です。(発達心理学・教育学によって言い方が違うのです)
これらの表現の共通点は「親と子の間の信頼関係は、その後(小中高〜成人後)の心の発達、人間関係に大きく影響する」ということです。
※本メルマガは「愛着形成」という言葉で統一します。
ではなぜ、愛着形成が自立と関係してくるのか。
まずは愛着形成のプロセスをお伝えしたいと思います。
愛着形成のプロセス:0歳児の場合
赤ちゃんにとって嫌なこと(不快)=お腹が空いた・眠たい・排泄をしたい(またはした)=生理的欲求を「泣く」という行為によってママに伝えます。その不快をママが解決してあげることによって愛着形成が育まれます。
例えば
0歳児:お腹が空いたから泣く
↓
ママ:お腹が空いたのかな?それとも眠たいのかな?と様子を観察する。そしてお腹が空いているのかも、とミルクや母乳を与える
↓
0歳児:お腹が満たされることで泣き止み、同時に「ママは私の不快なことをわかって解決してくれる」とご機嫌になる
この日々の繰り返しによって、赤ちゃんの中に「ママは信頼できる人」という信頼関係を築いていきます。
愛着形成のプロセス:1歳児の場合
自我が芽生えることで、自分で物を取りたい、投げたい、また歩けるようになることで「あっちこっちに行きたい」という意思がはっきりしてきます。それが思い通りにならないと、泣いたり、不機嫌、グズグズするといった子どもの発達による感情の分化が出てきます。
例えば
1歳児:目の前にあったお財布を出して遊びたい
↓
ママ:困ったな、と思いながらも今は何でも触って学ぶ時期だから、危ないもの(小銭など)を口に入れないように見守りながら、少し触らせてあげよう
↓
1歳児:「自分のやりたいことをママはわかってくれた。嬉しいな。」という気持ちになることで「ママは自分のことを受け止めてくれる人」だという信頼関係が積み上がる。
前回のメルマガでも書きましたが、危なくないこと、害がないものであれば触りたいものはできるだけ満足するまで触らせてあげましょう。
★注意:しつけをしなくていい、わけではありません★
危ないものを触らない、お友達を叩かない、などのしつけは「指示行動(ママが言ったことに対して行動ができる)」ことができるようになってからはきちんとはじめていきましょう。何でもしていい、訳ではありません。しつけについては「第5回目:しつけの成功法則」でお伝えします。
愛着形成のプロセス:2歳児の場合(自己形成の始まり)
感情が発達してくることで、今まではご機嫌=快:泣く=不快、だったことが、感情の分化が更に発達し「喜怒哀楽」がはっきり出せるようになります。またこの頃からイヤイヤ期が本格的に始まり、ママが日常的に困ることが増えてきます。
ママ:お天気がいいかなら、今日は公園に行こうと誘う
↓
2歳児:いや!行かない!
↓
ママ:せっかく天気がいいのに。今日は公園に行って、その後お昼寝して、家事も片付けたいし・・・(イライラが募る)
こんなこと、よくありますよね(涙)
先ほどもお伝えしたように、2歳児以降は「自分の意思と感情をはっきりを出せる」ようになります。ここでよくママから聞く言葉「言うことを聞かなくなった」というワードですが、実はそれまでは赤ちゃんは自分の意思をハッキリ伝えることができないから「赤ちゃんが、ママの意思を無条件に受け入れていただけ」なのです。
人間は「自我」がなければ人として生きてはいけません。
自分がどうしたいのか、自分は何がしたいのか、主体的に生きるために大切な「自我」。これはその後の自立に大切な「自己形成」へと繋がるのです。
もしこのような状況になった場合、ママによほど公園に連れていかなければならない理由(お友達と公園で待ち合わせをしている)などがない場合は、2歳児の「私は家の中で遊びたい!行きたくない!」という子どもの意思を受け入れてあげましょう。
これによって、子どもは「ママは自分の気持ちを尊重してくれた、嬉しいな」という気持ちになります。この積み重ねによって「だから私もママの言うことを聞くようにしようかな」という、しつけが上手にいくことにも繋がっていきます。
この子どもとママとの双方向とのコミュニケーションが上手にいくことで愛着形成が上手に育まれると同時に「ママは信頼できる→他者も信頼してみよう」という気持ちが育つのです。
他者への信頼関係は、自立に必要な「社会性」が育つためにもとても大切です。
社会性とは?
社会の中で生きるために必要な「人と関わる基礎的な力」です。コミュニケーション能力や、ルールや規律を守るなどを指します。幼児期では「協調性」という表現もされます。お友達のことを信頼できる→上手に関われる、思いやりの心、道徳性など、自立していくための大切な力の一つです。
家庭でできる、愛着形成の方法
このように、月齢別に愛着形成の方法は変わってきますが、どの月齢でも共通する一番大切なことは「子どもの要求には応えてあげる」ことです。
要求に応えるのは60%程度で大丈夫です。
子どもの要求に無条件にすべて応えていたら、危険な行為の要求ですら応えてくれるものだと勘違いして、単なる「わがままな子」を育てることになります。
要求はなんでも応えてもらえるわけではありません。
ママから愛されている、と子どもが心の底から常に感じてること
愛着形成とは結局「ママは自分のことを愛してくれている」という気持ちが子どもの中で育っているか、です。それは快・不快の要求を満たし、子どもの意思、感情を受け入れて優先してあげる積み重ねが愛されていると自覚できるようになります。
我が子を愛する方法が「厳しいしつけ」や「ママが良いと思った教育の詰め込み」では、子どもは、自分が愛されているのかを実感できません。
まずは「子どもの要求は60%程度応えてあげる」ことを今日からはじめてみてくださいね。
(しつけについては【第5回目】のコラムで詳しくお伝えしていきます。)